補聴器 【その18】 補聴器のはなし④「体操教室」

 補聴器のはなし④「体操教室」  

70歳からの挑戦

 5年ほど前から耳が聞こえづらくなった。補聴器をすすめられたが、
恥ずかしくてつける気にはなれなかった。しかし、聞き間違いが増えて何回も
聞きき返す。「わかっったフリ」は孤独だった。70歳を機に補聴器を
つけた。

 補聴器をつけると今までの孤独から開開放された。健康のためにと
体操教室に通うことにした。

講師の声が聞き取れず

 初日、受付で血圧測定、問診表記入講師の先生は40代の男性、自己紹介
のあと、「参加者は65歳から85歳まで30名、無理せずに楽しくやりましょう」と
挨拶があった。

 広い体育館の中でマイクなし、私は講師の正面近くに席を取った。初日は
各人の運動能力測定が行われた。と、私の前で高齢と思われる女性が
足の歩幅測定で何回もやり直しをしている「左足は線を踏まないで!」
「右足を大きく前に!」と指示をされているが繰り返しラインを踏んでいる。
「もしかして聞こえていないのではないか」私は彼女の側に行き、自分の手足を
使てやり方を伝えると、彼女は黙ってうなずき難なく指示通りにすることができた。

素直な心に敬服

 休憩時間、彼女に「暑いですねと話しかけた。私は難聴で補聴器を
つけてますと言うと、「私も聞こえないんです。歳だから仕方ないと
思ってます」とのこと。私は耳元で「人の話が通じるって楽しいと
思いませんか?」というと黙ってうなずき「補聴器はどこで作られましたか」
と聞かれる。「市内○○で。誠実な所がいいですね」と答える。

 二週間後、穏やかな笑顔で「補聴器の店に行ってきました」と挨拶を
うけた。早速のことにびっくりした。何て素直な人なんだろう、
初対面の人の話をすぐ実践するなんて。一緒に飲んだ清涼飲料水の味が、
とてもさわやかに感じた。