補聴器 【その17】 補聴器のはなし③「プッツン電話」
補聴器のはなし③ 「プッツン電話」
|
中等度難聴
六十五歳を過ぎた頃から、夫に「テレレビの音が大きい」「電話に気が付か
ない」などと言われるようになった。病院に行き聴力検査を受けたところ、
「中等度難聴」と診断され、補聴器の販売店を紹介された。
最初の補聴器は耳かけ式、次は耳あな式を選び、さらにポケット式を購入
した。しかし、どの補聴器もハウリングのピーピー音が不快で、耳が疲れて。
長時間使用することはできなかった。
苦手の電話
夫が3年前に亡くなり、二階建ての家での一人暮らしが始まった。なるべ
く我慢して補聴器を装着していたが、話かけられても聞き返すことが多く、
背後から呼ばれても気が付かなかったりして、次第に家の中にいることが多
くなっていった。
そんなある日苦手の電話が鳴った。少し鼻にかかった低音で早口の友人
からだった。最初は世間話をしていたがそのうちに相手の声が聞き取れなくな
ってしまった。ハウリングのピーピー音に混じって「こりゃー駄目だ!」と
いう相手の声がハッキリ聞こえたのを最後に、その電話はプッツンと切られ
てしまった。
|
|
|
きっかけは雑誌
ある日、何気なく雑誌を見ていたらら、ある著名人の「今までの補聴器
は何だったんだろう」という記事が目に止まった。早速、苦手の電話で
メーカーに問合せをし、最寄の販売店で初めて最新のデジタル補聴器を
試してみた。「慣れれば操作も簡単です」と言われ購入した。
いよいよ装着してみると、長い間忘れていた音が一人の我が家に満ち
ていた。降り始めた雨の音、雨戸を閉めても聞こえる風の音やシジミが
器の中でプツプツと立てる音まで聞こえる。何より、一日中装着しても
疲れないのがうれしく、お風呂に入る時に外すのを忘れる程。苦手だっ
た電話は一番楽しい時間になった。
|